【蕎麦】こそば亭
幻の蕎麦「こそば」から広がる未来
こそば亭は、「新潟県妙高市」で営まれている手打ち蕎麦屋。最大の特徴は取り扱う蕎麦の実が在来種「こそば」であることだ。そこには、数奇なストーリーがある。
一般的な蕎麦の実は、品種改良が繰り返されることで、蕎麦本来の旨味が損なわれている。ご年配の方は「昔の蕎麦はもっと美味しかった」と言う。「こそば」は、妙高市のとある地域で販売用ではなく、農家の自家消費のものとして栽培されていたので、品種改良はほとんどされずに生き残って来た、在来種だ。その希少な蕎麦の実をもっと多くの人に知ってもらいたい、食べて欲しいと始めたのが、「古流手打ちそば処 こそば亭」である。
妙高山で揉まれたこそばの実
「こそば」の生産地である妙高市は、有数の豪雪地帯にそびえ立つ「妙高山」のすそにある。妙高山麓の土と気候が「こそば」の濃厚な味と香りを育み、ミネラルをったぷり含む秀峰「妙高山」の雪解け水が、蕎麦栽培の最適な土壌を作っている。それが特別な「こそば」の秘密でもある。
さらに蕎麦作りも徹底している。
こそば亭では、蕎麦の実を自然の風で乾燥し、石臼で粉砕をする。「こそばの実」は、一般的な蕎麦の実の1/3しかないため、粉砕は慎重に行う必要がある。手を抜かず丁寧が故に「こそばの実」の旨味と風味が引き出されているのだ。
こそば亭の歴史
こそば亭の歴史
日本蕎麦屋は、歴史が長いイメージを持つが、こそば亭はまだ今年で22年目。
創業のきっかけは、代表の「市村晋也」氏の父が地域活性化の仕事を通じて「こそばの実」と出会い、歴史が始まる。創業当時サラリーマンだった彼は父と一緒に、一から修行を行い職人の道へ。現在は、代表を務める。
蕎麦本来の美味しさを持っている「こそば」を知ってもらいたい、知って欲しいという想いは、年々強くなっており、勢いのある若き経営者は販路拡大に努めている。
そんな彼の1日は非常に慌ただしい。
午前中は蕎麦の製造、正午から店舗営業を行い、午後は商品の梱包作業をおこなっている。そんな彼が特に嬉しい瞬間は、お店に訪れた子どもたちが笑顔で美味しいと言ってくれることだ。
私は、彼との付き合いが長く、それなりに人柄を知っているつもりだ。彼の優しい人柄ならではのエピソードであり、彼ならば想いと一緒に託された「こそば」をさらに多くの人に届けていくと確信している。
繰り返しになるが「こそば」は、在来種であるが故その取り扱いは簡単ではない。
例えば、収穫は秋年に1回のみ。つまり収量がその年の気候に左右されやすいのだ。現在は、協力農家と連携することで、安定的に収穫が可能となったが、ここ至るまでは、大変厳しい道のりだった。
また、「こそば」は、その実が小さいことから製粉会社では製造することが困難であったため、一般流通は不可能と思われていたが、石臼で丁寧に粉砕するなど、創意工夫をすることで量産を可能とした。
数々の受賞歴
関東を中心にファンを持つ「こそば亭」だが、もっともっと知られるべきである。
多くのメディアで紹介され、受賞歴も素晴らしい。
主なものとして、2010年 週刊誌週刊文春 「 BEST10ランキング お取り寄せ蕎麦」第1位獲得、2020年「ミシュランガイド新潟 2020 特別版」で「ビブグルマン」獲得、新潟ガストロノミーアワード 飲食店部門100店に選出、2023年「新潟ガストロノミーアワード 飲食店部門100店」に選出されている。
時味のセット商品に同包されている半生そばは、全国のファンから賞味期限が長いものが欲しいとの声を聞き開発した商品である。
ぜひ、希少な「こそば」と「こそば亭」のストーリーを楽しんでいただきたい。
古流手打ちそば処 こそば亭
〒944-0016 新潟県妙高市美守681-7
電話番号:0255-72-8628